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『ビリー・エリオット』 ミュージカルライブ【鑑賞メモ】

 2014年に本場ウエストエンドで上演された「ビリー・エリオット」のミュージカルライブを鑑賞。本当に好きな作品なので、改めて好きなポイントをまとめておく。

Amazon.co.jp: ビリー・エリオット ミュージカルライブ ~リトル・ダンサー (字幕版)を観る | Prime Video

  1. 演出上の好きなポイント
  2. Electricityの歌詞が深すぎる
  3. 伝えたいテーマ
  4. 時代背景 
  5. ミュージカルライブでの見どころ

 

日本版ミュージカル「ビリー・エリオット」の観劇メモはこちら。

1.演出上の好きなポイント

好きな部分はありすぎるのだけれども、特に好きな部分のみ挙げる。

演出家 スティーブン・ダルドリー

映画版も演出を手掛けた演出家で、映画「リトルダンサー」が映画演出初作品で元々は舞台演出家。リトルダンサーに関しては映画→ミュージカルという流れだったが、ミュージカルのほうが本業だったということだ。

ティーブン・ダルドリーの概略はWikipediaで。スティーブン・ダルドリー - Wikipedia

このミュージカルは、トニー賞でも最優秀ミュージカル演出賞を受賞。素人から見ても見どころ満載だと思う。

Solidarityの演出

炭鉱夫VS警備のストの様子とバレエレッスンの様子を1曲で一緒に描いていく表現の方法は本当に好きですごく印象に残った。ビリーがどんどんうまくなっていく姿のも胸が熱くなる。

Letterの演出

ビリーが手紙の内容を覚えていて(何度も読んだんだろうな…)途中言葉に詰まるときにお母さんが登場して歌い始めるのがすごく好き。お母さんとウィルキンソン先生が重なるのもグッとくる。

そして劇の最後の場面にて、Repriseでも同じようにお母さん登場して、ビリーが母にあてた手紙を読むのもすごく好き。Letterは歌詞も良く(後述)、毎回泣かされる場面。

Angry Danceの演出

1幕最後のAngry Danceはビリーの見せ場。このエネルギー溢れるダンス、実際観劇したときにかなり衝撃だった。歌ではなく、怒りを体で表現する。それをストの様子と合わせて描くやり方、ステージ上にビリーひとりで赤い照明で踊るシンプルな見せ方、どれもすごく秀逸だなあと。

Swan Lakeの演出

子どものビリーとオールダービリーが夢の中で踊っているシーン。これも見せ場のひとつ。本当にきれい、という点はもちろん、まさか空中に吊られるなんて思わなかった。

2.Electricityが深すぎる

ビリーの1番の見どころといっても過言ではない「Electricity」。こちらの記事を読んでとっても深い歌だと知った。曲もとても良いし(エルトン・ジョン作曲)、作詞は脚本のリー・ホールが手掛ける。とてもシンプルだけど、ビリーの気持ちがうまく表現されている曲だと思う。

特に、おお~と思ったのが「Electricity」という表現。記事でも言及されているけれど、作品においてここは必ず「Electricity=電気」と訳してくださいと唯一指定があったのこと。最初、聞いたときは直訳しすぎじゃない?って正直思っていたのだけど、石炭と電気の対比だって知って、うおお~~~なるほど!と。

石炭は電気を生むエネルギー源でもあったわけで、沢山の電気を作り、時代を作ってきた。当然、ビリーもあの炭鉱の町で育って今の彼になったわけで、ビリーが持つ輝きは、言ってみれば石炭が輝かせている電気みたいなものとも言えます。だけど、ビリーがもっと輝くためには別のエネルギー源が必要で、だからここから出ていかないといけないんだな、と。(記事より引用)

 

オリジナル英語歌詞と日本語歌詞をどちらも載せてみる。(1コーラスのみ)

 Electricity - song by Original Cast of Billy Elliot | Spotify

<英語歌詞>

I can't really explain it, I haven't got the words
It's a feeling that you can't control
I suppose it's like forgetting, losing who you are
And at the same time something makes you whole

It's like that there's a music, playing in your ear
And I'm listening, and I'm listening, and then I disappear

And then I feel a change, like a fire deep inside
Something bursting me wide open, impossible to hide
And suddenly I'm flying, flying like a bird
Like Electricity, electricity
Sparks inside of me, and I'm free, I'm free

 <日本語歌詞>

うまく言えません 言葉にできない 

抑えきれない気持ち

自分をなくすような 忘れるような

本当の僕になるような

耳の奥で音楽が鳴りだして

追いかける 追いかける 自分が消える

僕は変わる 何かが燃えて 

僕を開くもう逆らえない

僕は舞い上がる 鳥のように 

まるで電気  そう、電気

胸ではじけて、ぼくは、もう自由

 

※日本語歌詞はこの映像から書き起こしました

www.youtube.com

 3.伝えたいテーマ

このミュージカルでの伝えたいテーマに「自分らしく」「自由」があると思う。ヒントが各曲に隠されている。

Letterの歌詞

And you must promise me this, Billy
In everthing you do
Always be yourself, Billy
And you always will be true

自分らしく、誠実に生きなさいという、ビリー母の言葉。最後のシーンでも、ビリーが母へ向けた手紙で、母に言われたとおり、「自分らしく生きる」と歌う(ぐっとくる)

Expressing Yourselfの歌詞

What the hell is wrong with expressing yourself?
For wanting to be me?

 日本語でも「ありのままでいたいだけさ、何が悪いの?」との歌詞になっている。

Everyone is different
It's the natural state
It's the facts, it's plain to see,
The world's grey enough without making it worse
What we need is in-div-id-ual-ity.

やっぱりマイケルという友人の存在もなかなか重要だと思う。自分らしく、個性が大切!と言ってくれる友人が近くにいるだけで、ビリーは心強かったんじゃないかな。Expressing Yourselfに関しては、ほんとうに演出も最高。

 Grandma's Songの歌詞

and gone dancing,
and not give a shit,
spin around and reel and love every bit,
and i'd dance alone and enjoy it, andi'd be me for and entire life,
instead of somebody's wife,
and i never would be sober.

はっきり「男性に頼らず生きたかった」と歌う姿がすき。誰かの妻じゃなくて「自分になる」という歌詞は、まさに「自分らしく」「自由」というテーマを表しているように思う。

 4.時代背景

これは単に私の世界史の知識がなかっただけなのだが、時代背景を簡単に記載しておく。

ミュージカルの時代設定としては、サッチャー政権時代の1984年。マーガレット・サッチャーはイギリス初の女性首相(在任:1979年 - 1990年)で、強硬な施策で「鉄の女」とも呼ばれていた。サッチャーの行った経済政策はサッチャリズムと呼ばれ、パブリックセクター(炭鉱もこの中に含まれる)の民営化を進めたことで、たくさんの失業者がでた。

これを分かっていないと、なんで労働組合のひとたちがサッチャーを嫌っていて、Merry Christmas Maggie Thatcherの1曲でかなりの言われようだったのかが分からない。意外と社会派な作品なんだなあ。

5.ミュージカルライブでの見どころ

やっぱり子役がすごすぎる

実際に観劇しても今回のミュージカルライブでも思ったこと。ビリー役は求められることが本当に多い。演技、なまり、歌、バレエ、タップ、アクロバット、、本当に出ずっぱりなので体力がものすごい。もはやアスリート。ビリー役の子は1年以上の特訓を受けたうえで選ばれる。しかも声変わり前の子に限られるから、大人になったら決してできない役なのである。ミュージカルライブでビリー役を務めたのはエリオット・ハンナさん。

歴代のビリーとの共演

このミュージカルライブ(2014年)では、2005年初代ビリー役リアム・ムーアさん(バレエダンサー)がオールダー・ビリー役で出演しているのが、なんとも胸が熱くなる。。本当にオールダー・ビリーじゃないか。そして、カーテンコールでは歴代のビリーが全員集合して踊るシーンがあり、圧巻である。

カメラワーク

上からの映像があるのがびっくり。オールダービリー踊るシーンでのカメラワークがすっごくきれい。

イギリス田舎なまり

イングランド北部の炭鉱町の設定。確かにアクセントとかが違うなあとは気づいたけれども、日本語字幕では特になまってるような感じで出てこなかったし、なまりの感じまでわからないのがちょっと悔しい。(日本版ミュージカルでは博多弁だった)わかる人にはここもポイントになるのであろう。これが分かるようになればいいのになあ。

 

本当に何回見ても感動するし、本当に好きな作品。本場での上演もいつか見に行きたい。